浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語☆七 妖怪座敷・・・!?

今日はいい天気でござった☆
梅雨空は何処へやら久し振りに朝からお天道様が顔を出し青い空に白い雲とまさに夏でござった☆
だがしかし!
この夏の陽射しを浴びながら拙者を凍てつかせる出来事がござった・・・
先日申したが今の拙者は心身ともに誠の浪人でござる。
それを踏まえた上でお聞き頂きたい。

引っ越してすぐに必要な物を買い揃えた。
中でも何を置いても真っ先に買い求めた“からくり活動写真箱(テレビ)”の支払い詳し書き(支払い明細書)が届いて凍てついた。
拙者会計にて『札払い(カード)分割十回で。』と申したのになんと!“一括払い”となってござった∑(OωO; )
払わねばならぬのは分かっておるが今の拙者には『キビシー!』でござるヽ(≧▽≦;)/うきゃー

然らば『夢物語』始まりでござるヽ(≧▽≦)/くはー

ちょ~ん♪(拍子木の音)

ここは拙者の家である。
よくある裏店で大分年期は入っている。あえてボロとは言わない。
その内の一部屋を借りている。
故に拙者の家である。
そのはずである。
ところが異変が起こった。
今しがたいつもの散歩から戻ったのだが戸を開けると中に年の頃十五、六の娘が単座し、にこにこと笑っている。
これはいったい・・・。

仁『・・・』
娘『にこにこ☆』
仁『・・・』
娘『にこにこ・・・』
仁『・・・』
娘『何か言って下さいまし!』
仁『いや、その、ここは拙者の家、だと思ったのだが・・・』
娘『左様にございます!ここはあなた様のお屋敷にございます!そんなことよりわたくしに何か言うことはないのですか!『誰だ!』とか、『何者!』とか色々あるではございませんか!』
仁『じゃあ、だれだ。』
娘『何でございます!その取って付けたような物言いは!』
仁『いや、お主が言えと・・・いやすまぬ。あまりのことゆえ面食らっておる。』
娘『(溜息)居心地が良さそうだったのでお邪魔してみましたが(チラリと拙者を見る)見当違いのようでございますね。お邪魔致しました。』
娘は拙者の横を通り出て行こうとする、が。
娘『お止めにならないのでございますか!?』
仁『なぬ!?(面倒くさいのう)』
娘『あ!今、面倒くさいと思われましたね!あなた様のお屋敷に勝手に上がり込み勝手に帰ろうとした上、言いたい放題言うわたくしを!』
仁『いや、まあ、そうじゃな。』
娘『ひどいでございます!せめて名前くらい訊いて下さいまし!』
仁『(なんなんだこの娘は)はぁ(溜息)して、お主の名は?』
娘『人に名を尋ねるときは、まずご自分の名を名乗ってからでございましょう。』
仁『(おのれ~)拙者は春風仁志狼と申す。して、お主の名は?』
娘『おほん。わたくしは取り憑いた家に幸せをもたらす事で有名な、その名も妖怪座敷・・・座敷娘と申します。 』
仁『座敷娘⁉』
娘『はい。本日から春風様のお屋敷においていただきますゆえよしなに。』
仁『な、な、何を言っているのだ!妖怪座敷娘!?おいていただく⁉先程から勝手なことばかり言いおって!断る!断じて断る!出て行け!ここから出て行くのだ!』
娘『いやです。もう決めたのです。ここに置いて頂きます。』
仁『!?何と勝手な。だいたい妖怪とはなんじゃ!座敷童子ならともかく座敷“娘”とはなんじゃ!』
娘『・・・わたくしも以前は“座敷童子”でございました。ですが何故かここ数百年の間にこのようにまるで十五、六の娘のように育ってしまいました。乳も尻も豊満で妖艶に・・・見ます?』
仁『!?ば、ば、』
娘『つづけます。』
仁『(イラッ!)』
娘『このような美しき乙女の姿となっては“わらし”と名乗る事も出来ず不本意ながら“娘”と名乗ってございます。卒爾ながら春風様にお伺い致します。“娘”と“乙女”どちらが良いでしょう。』
仁『どちらでもよいわ!兎に角ここから出て行ってくれ!』
娘『・・・春風様はわたくしがお嫌いなのですか。』
仁『いや、嫌いとかそうではなく、』
娘『分かりました。出て行きます。』
仁『すまんな。人を、ましてや若い娘を一緒に住まわせる訳にはいかぬのじゃ。許せ。』
娘『良いので御座います。自分でも訳も分からぬまま育ってしまったわたくしは一族からものけ者にされ行く先々では『おばけ』『幽霊』と言われ追い払われ、頼るところと言えば義理人情に厚い方と妖怪仲間の間でも評判の春風様のお屋敷、ここ以外にはありませぬでしたが、わたくしのような不出来な妖怪は嫌われてしまっても仕方がごいませんね。御無礼をお許し下さい。(おじぎ)』
出て行こうとする座敷娘。その潤んだ瞳から一粒の涙がこぼれ落ちる。
仁『・・・まて。』
娘『・・・しくしく』
仁『まあ、なんじゃ。行くところがないのなら、暫くここにおっても良いぞ。』
娘『誠にございますか!ここにおいて頂けるのですね!』
仁『う、うむ。まあ行き先がみつかるまでの間だけじゃが。』
娘『流石は春風様!評判通りのお方にございます!ありがとうございます!ありがとうございます!』
仁『一つ訊いて良いか?』
娘『はい!なんなりと!』
仁『お主、誠に妖怪か?』
娘『にこ☆』
すっと娘の姿が消える!
仁『!?』
娘の声『わたくしは妖怪座敷娘。今日よりこちらに棲まわせて頂きます。春風様、どうぞよしなに♡』
仁『座敷、むすめ・・・とんでもないものを棲まわせてしまった。』
そこへ先見屋が元気よく入ってくる。
先『旦那ー!面白い物が手に入りましたよー!』
仁『!?ーーー(ぱたっと倒れる)』
先『わー!旦那しっかりして下さい!心の臓が止まってるー!!!旦那!旦那ー!!!』

つづく☆

ちょ~ん♪

ではまた次回!
これにて御免(≧▽≦)☆
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