浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語☆十八 『続々・親』

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秋も深まりはらはらと落ち葉が風に舞う今日この頃。
皆様いかがお過ごしでござろうか。
拙者は元気でござるヽ(≧∇≦)/きゃー☆

では、夢物語はじまりでござる~☆

ちょ~ん♪(拍子木の音)

季節は秋。
晩秋の頃。
鮮やかに色づいた紅葉や銀杏がはらはらとその葉を風に踊らせている。
流石に朝晩は冷えるが日中は穏やかでともすれば汗ばむほどである。
拙者の家を除いては・・・。
寒い!!!!!!!
凍える様である!
それもそのはず。拙者の目の前には雪女がいる。
雪女たち(河童もいる)が来て直ぐはそれほど寒さは感じなんだが、外が暖かくなればなるほどその本能からか溶けまいとして自然に冷気が強くなる。
おかげで拙者の家だけまるで真冬の北国。極寒である。
仁『はっくちょん!』
雪『あら春風様。お風邪でございますか。季節の変わり目でございますのでお気を付け下さいまし。』
仁『・・・忝い(お主のおかげじゃがな)』
その時、戸が勢いよく開いた!
やっと座敷娘が帰ってきたのだ!
佐『だんなー!秋刀魚もってきやしたぜ☆こいつで一杯やりやしょう♪』
入ってきたのはこの長屋に住む大工の佐吉である。
仁『さ、佐吉か・・・』
佐『ありゃ。お客さんで。秋刀魚、ここおいときやすね。そいじゃごめんなすって。』
間の悪い奴め。
それはさておき。
河『・・・・・・・・・・。』
あれからしばらくしてどうしたわけか河童がおとなしくなった。
一言もしゃべらない。
まあ。口を開けば悪態ばかりなので黙っていてくれるのはありがたいのだが、こう押し黙られると気にはなる。
具合でも悪いの・か・な・・・。
仁『あ。』
河童のお皿の水が凍っている⁉
河童は皿の水がないと力が出ないとか、乾くと死ぬとか聞いた事はあるが、まさか凍るとは!
ほほ~。まさかね~。凍るとはのー。なるほどそれで元気がないのじゃな~。
ふっふっふっふっ。お気の毒(ちょっと意地悪)
河童は拙者に気づき何か言いたげだが言葉にならないようだ。
このままどうなるものか見ていたい気もするがこれ以上の面倒は御免だ。
そう思い仕方なく河童に熱々の白湯と湯に浸した手拭いを渡した。
河童は天の助けとばかりに手拭いを頭に乗せ白湯を口に運んでいる。

ほかほか手拭いを頭に乗せ大事そうに湯飲みを持つ河童。

面白い絵面である。ぷぷっ。

雪『あらあなた。また凍てついていたのですね!』
仁『また?』
雪『お恥ずかしい話なのですが、もう長く一緒にいるにもかかわらず、いまだにこの人(妖怪)は私の冷気にあてられその身を凍てつかせるのでございます。まことに情けない。』
河『母ちゃんそんなこと言ったって、ものには限度が・・・』
雪『お黙りなさい。凍らせますよ。』
河『母ちゃんそりゃないよ~。』
妖怪が夫婦になるのも命懸けじゃな。
河童のことが少々気の毒になってきた。
雪『娘の手紙に書かれていた通り春風様はよいお人でございますね。人ではないわたくしたちにもお気遣い下さるなんて。有難い限りです。さ。あなたからもお礼を。』
河『フン。』
ごつっ!(雪女が河童の頭を拳骨でドツイタ音。皿がわれるぞ・・・)
河『あ・・ありがとう・・ございま・し・・た。』
河童・・・がんばれ。
その時、戸が勢いよく開いた!
今度こそ座敷娘が帰ってきたのだ!
片『春風殿、釣りに参りましょう☆』
これまたこの長屋に住む片桐壮九朗であった。
仁『・・・』
片『やや!これはお客人でござったか。これは御無礼。ではまた日を改めて。御免。』
・・・。
河『まったく人間は騒がしいのお。』
雪『賑やかでいいじゃありませんか。それにしても遅いですねぇ。あの娘なにをしているのかしら。』
河『ふん。此奴に愛想をつかしてもう帰ってこんのではないか。』
仁『何を河童が!偉そうに。』
河『これだけ待っても帰ってこんのだ!愛想をつかされたに違いないわ!』
情けなどかけねば良かった💢
仁『言わせておけばこの河童め!表に出ろ!』
河『人間が!吠え面かかせてやる!』
またまた勢いよく戸が開いた!
よ『春風様見てください!行商に来ていたお百姓さんから旬のもの沢山買って参りました♡・・・あ!』
雪『よめ。』
河『よめーーー!』
やっと帰ってきたー(T T)
よ『とお様、かあ様!』
座敷娘はそっと秋の味覚の入った籠を置く。
よ『ごゆっくり。』
仁『まてーい!』
踵を返し走り去ろうとする座敷娘をかろうじて引き止めた。

つづく。

ちょ~ん♪(拍子木の音)

ではまた次回☆
これにて御免(≧∇≦)♪