浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語。

雨でござる。
この時期の雨はまだ寒さが残りますな。誰ぞのように『春雨じゃ。濡れてまいろう。』などと言ってもみたいが拙者如きでは風邪をひくのが落ちでござろうな。(苦笑)
さて此度は趣向を変えまして、拙者の夢物語、ありていに言えば空想世界にご案内致す。お楽しみ頂ければ幸いでござる。
然らば始まりにござる。最後までずずずいーとお楽しみ下さりませ~!
ちょ~ん(拍子木の音)

『これはいったい何であろう・・・』
そう呟いたのはこの長屋に住む浪人春風仁志狼、拙者である。
目の前には何やら白くて四角い物が置いてある。見た事もない・・・事も無いのだがこれが果たしてそれであるのかは定かではない。何分これを置いて行ったのがあの男だからである。あの男、と言うのは日本橋から少し歩いたところにある『先見屋』と言う万屋の主である。店先に並んでいる物は見慣れた物もあれば見た事もない不思議な物や奇妙な物も置いている。主の話では『未来』の物だとか。聞き慣れぬ名じゃが、おそらくは南蛮辺りの未来という名の異国のことであろう。
それよりも今は“これ”である。
得体のしれない“これ”は、丸みを帯びた四角で色は花魁の肌のように真っ白い。良き香りがする。表面はつるりとしており見れば見るほど『切り餅』のようである。うまそうだ。
よく見ると真ん中に獣の彫り物が施してある。・・・牛、か。おそらくは屋号(店の名称)をもじったものであろう。
う~む、牛・・・切り餅・・・わかった!これは求肥だ。求肥の塊だ!そうに違いない!求の字を牛に置き換え牛の彫り物を施すとは流石は遊び好きの江戸っ子じゃ。天晴である!
さて、そうと分かれば早速、いただきます!
そこへ勢いよく戸を開けて男が入ってきた。先見屋の主である。
『春風の旦那。さっきのあれ食っちゃダメ・・・あーあ。』
そこには口から大量の泡を吹く浪人春風仁志狼の姿があった。
それを見た先見屋はそっと扉を閉めるのであった。
ちょ~ん(拍子木の音)

最後までお付き合い頂きありがとうでござった!ではまた次回。
これにて御免☆

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あわわわわ・・・