浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語☆十九 親と子

今はもう師走。
あっという間の一年でござった。
なにやらあれやこれやとバタバタ落ち着かぬ年でござったな( ̄  ̄;)
拙者も色々と変化はござったが、お陰様で元気でござる☆

冒頭でも申したが、『師走』でござる。
朝晩の冷え込みはだいぶ厳しくなって参った。
処によっては雪が積もり本格的な冬が訪れてござる。
皆様風邪などひきませぬようお気を付け下され☆

然らば『夢物語』はじまりでござるヽ(≧▽≦)/にゃー

ちょ~ん♪(拍子木の音)

よ『とおさま、かあさま。一体如何なされたのですか?急にお越しになるなんて。』
座敷娘も拙者同様、河童と雪女の突然の来訪に面食らっているようである。
雪『いえね。この人(河童)がお前のことが気になって気になって仕方がないと言うから・・・』
河『いやいや。わしではなくお前が、』
雪『(ギラリ)』
河『!?そ、そ、そうなんじゃ。初めての人の世。どうにも心配になってなー、あははは・・・』
よ・仁『・・・』
雪『それにしてもよめ。春風様はお前が手紙に書いていた通りの方ですね。私達のような妖怪に良くして下さって。出逢ったのが春風様で本当に良かったですね。』
よ『はい!春風様は誠に良い方に御座います☆』
いや、押し掛けてきたのだ。
河『ふん。良い方?どうだかの。』
雪『あなた。まだ疑っているのですか。』
河『当たり前だ!人間など、こんな奴など信用できるものか!よめ!こんな奴とはサッサと縁を切ってわしらの処に帰ってこい!』
よ『いやです。』
河『な、な!わしらといるより此奴と一緒の方が良いと言うのか!?』
よ『はい。』
河『なにー!こんな奴の何処が良いと言うのだ!』
よ『春風様は何というか、ぼーっとしてて、ふわふわしてて、剣の腕は立つのにどこか抜けてて・・・あれ?良いとこが無い。』
仁『おい。』
河『はーはっはっは!それ見ろ!言わんこっちゃない!こんな出来損ないと一緒では出来損ないがうつるぞ!悪い事は言わん。家に帰るぞ!』
おのれ河童!何度も何度も・・・!
よ『えーと、えーと・・・あ!優しいんです!そう!とってもお優しいんです☆うん。』
仁・雪・河『(説得力がない。)』
よ『そ、そ、そうだ。とおさま、かあさま。せっかくお越しになられたのですから夕餉をご一緒に。丁度旬のものを沢山仕入れてきましたので腕によりをかけて御馳走いたします!春風様が☆』
仁『は。』
なぜそうなる。
河『人間の作ったものなど食え・・・』
どごん♡(河童が畳に食い込む音・・・)
河『・・・』
雪『そうしたいのですがそろそろお暇致します。』
よ『そんな、かあさま。』
雪『お前の顔を見れただけで十分。手紙を楽しみにしていますよ。』
よ『はい!』
雪『さ、あなた。』
雪女は河童を引き摺りながら表へ。拙者達も見送りに出た。
雪『よめ。』
雪女は座敷娘を抱きしめた。
雪『さびしくなったらいつでも帰っていらっしゃい。体に気を付けて。』
よ『はい。かあさまも。』
雪『長居を致しました。春風様もお体にお気を付けて。わたくしたちの処にもいらして下さいませ。ではごめん下さいませ。』
河『・・・人間。もごもごもご。』
仁『ん???』
河『ぬ~!娘をたのんだぞ!ふん!』
・・・。
う~む。まるで人の親のような妖怪達であったな。
それにしても疲れた。
長い一日であった。もう日が沈み始めている。
ふと見ると座敷娘は名残惜しそうに二人(?)の去った方を見つめている。
会うのがよほど久しぶりだったのか、いつまでも見つめている。
いつまでも、見つめて。
見つめ・・・。
仁『凍ってる⁉』
え!なんで!どうして!いや!どうしたらいい!どうしたらいいの!!!
だ~れ~か~たーすーけーて~~~!!!

長屋の向かいの屋根に人影があった。いつかの僧である。
僧『ほー。河童に雪女まで。にぎやかだな。』
チリーン(鈴の音)


ちょ~ん♪(拍子木の音)

ではまた次回!
これにて御免ヽ(≧▽≦)/にゃー☆