浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語 六 名前

雨である。
夜になり雷鳴と共に降り始めた。
ぼんやり雨の風景を眺めていると突如『これぞ雷!』と言わんばかりの見事な雷が天を真っ二つ、いや二叉に分かれたので三つに切り裂いた!
いや、誠に見事であった。

あ。
夢物語、始まってござる。
ヽ(≧▽≦;)/てへっ☆

ちょーん♪(拍子木の音)

轟音と共に夜の闇を切り裂く光の刃。“天の剣”とはよく言ったものである。
拙者は幼少の頃より“雷”に憧れている。
その迫力と圧倒的な存在感!自然界の驚異!天の剣、雷!
誰しも強きものに憧れるものである。
此奴を覗いては・・・
布団でガタガタと震えているのは先日先見屋に行った折、主から預かった(押しつけられた)毛むくじゃらのヘンテコな生き物である。
雷が鳴りだすやいなやこの奇妙な生き物は布団の中に潜り込み出てこない。
『よもやこの奇妙な生き物が雷が苦手とは。』
見た目はあれだが可愛いところもあるものだ。
しかし此奴にも何か名前をつけねば。
何時までも名前がないままでは何かと差し障りがある。
長屋のもの達にもなかなかに可愛がられている。
不思議なことに皆『猫』だと思っている。いや、猫に見えているようだ。あの生真面目な大家まで猫ちゃんとよぶ。
猫。
ネコ?
ねこ!
仁『ようし決まった!今日からお前の名は『ねこ』だ!』

皆がこの毛むくじゃらの奇妙な生き物を『猫』と言うのだ。ならばいっそ拙者もそれに乗っかり『ねこ』と呼べば良い。先見屋もねこと言っておったからな。これで万事納まる!
我ながら名案☆

仁『よーしよーしよし。ねこ、ねこ、ねこちゃん出ておいでー♪』

『ねこ』は布団から恐々顔を出した。その瞬間雷鳴が轟く!

ゴロゴロピシャーン!!!

ね『に″ゃ″ーーー!!!』
『ねこ』は再び布団の中へ。
『ねこ』より『雷』の方が面白かったな( ̄∇ ̄)

ちょーん♪(拍子木の音)

ではまた次回!
これにて御免ヽ(≧▽≦)/くはー
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