浪人仁さんふらり日記

殺陣好きの役者にござる。拙者が興味を持った事を江戸言葉を交えながら記述致すでござる。

仁さん夢物語☆拾 え!?

暑い!
どうやら梅雨は明けたようだが蒸し暑い。
やはり夏である。
気を付けねば熱中症とやらになりかねない。
イカでも買いに行くか☆

しからば『夢物語』はじまりはじまり~☆

ちょ~ん♪(拍子木の音)

猛暑の中、久々に近くの池に釣りに出掛けた。たいして大きな池ではないが鮒がよく釣れる。うまくすると鯉が釣れることもあると言う。もっとも拙者はトンとお目に掛かったことは無いが。
池の畔にある大きな栗の木の下が拙者の漁場である。特にこんな陽射しの強い日には誠に良い日陰となり絶好の場所である。
拙者としては魚が釣れようが釣れまいがどうでも良いのだが釣れぬとお供の者が許してくれそうに無い。
ね『にゃあ☆』
仁『分かっておる。何としても釣れと言うのであろう。任せておけ。』
ね『にゃ~☆』
そう。お供というのは此奴、“ねこ(ヘンテコな生き物)”である。
拙者には毛むくじゃらで黒眼鏡をしたおかしな生き物にしか見えぬのじゃが他の者達には『猫』に見えるらしい。それ故『ねこ』とでも呼ばぬと収まりが悪い(それでも収まりは悪いが)
さて、かれこれ半時ほどこうして釣り糸を垂らしておるがいっこうに釣れる気配が無い。
そういえば出がけに座敷娘が何か言っておった。
!これはまずい・・・。
なにがまずいかと言えば、そう。長屋を出るときに座敷娘に啖呵をきってしまったのを忘れていた。出掛ける間際にこんなやりとりがあったのだ。
娘『わたくしは参りませぬ。こんな暑い日に外になど出たらお肌が焼けてしまいます。』
仁『いや、釣りに参ると言っただけでお主に来いとは言っておらぬ。』
娘『春風様はことあるごとに釣りにお出かけになられますが一度もお魚をお持ち帰りになられたことは御座いませんね。』
仁『釣れる日もあれば釣れぬ日もある。それが釣りと言うものだ。』
娘『怪しゅう御座います。釣りに行くと言ってその実、何処かわたくしの居ないところで羽を伸ばされているのではありませぬか。』
仁『待て待て。何故そうなる。誠に釣りじゃ。』
娘『では証拠をお持ち下さいませ。お魚の一匹でもお持ち帰りになれば疑いも晴れると言うものでございます。』
仁『分かった分かった。釣ってくれば良いのじゃな。目玉が飛び出るほどの大物を釣って参るから待っておれ。』
娘『誠にございますね。約束でございますよ。』
仁『武士に二言は無い。任せておけ。』

と言う訳である。
やれやれ┓( ̄∇ ̄;)┏
それにしてもあやつ妖怪の居候なのにこれではまるで女房のような物言いではないか。
童一『わあ、猫だ!』
童弐『毛がふさふさの猫だ!』
童達『この猫お侍さんの?』
仁『如何にも。』
童一『名前なんて言うの?』
仁『ねこじゃ。』
童達『ねこ~?変な名前~☆』
仁『誠にの』
童弐『遊んでもいい?』
仁『良かろう。乱暴にはあつかうな。』
童達『わーい!ねこ、遊ぼー☆』
童一『猫じゃらし~☆』
童弐『ねこねこじゃらし~☆』
童達『ねこねこ~☆』
童一『ねこ~☆』
童弐『ねこって名前の猫~☆』
童一『ねこねこにゃー☆』
童弐『ねこねこにゃー☆』
童達『ねこねこにゃー☆にゃーって鳴いて☆ねこねこにゃー☆』
童一『にゃー☆』
童弐『にゃー☆』
童一『にゃー☆』
童弐『にゃー☆』
童一『にゃー☆』
童弐『にゃー☆』
童達『にゃー☆☆☆』
ね『うるせえよ』
仁・童一・童弐『え!?』
・・・・・
童達『わー猫がしゃべったー!!!!!』
童達は一目散に逃げて行った。
仁『・・・お主、今・・・』
ね『にゃあ~☆』
・・・・・・・・・
このあとどうにか小鮒が釣れ座敷娘の誤解は解けた。
“ねこ”がしゃべった事は黙っておこう。

ちょ~ん♪(拍子木の音♪)

ではまた次回!
これにて御免(≧▽≦)☆
f:id:ookamizamurai:20200814143741j:plain